引退したKMB(九巴)のバス、外国の街角に現る?
Brand Museum ガイド


香港では、KMB(九巴・ガウバー、九龍バス)を引退した多くのバスが海外の会社に買い取られ、新しいデザインのステッカーを貼られて、観光バスやスクールバスとして外国で走り続けてきました。ですから、たとえ異国の地で出会っても、こうした「旧友」に気づくのはなかなか難しいかもしれません。ところが2018年、KMBの「熱狗巴士」(イッガウバーシー、冷房のない旧型バスの愛称。「ホットドッグバス」の意)がオーストラリア・シドニーの街角に現れているのが見つかりました。実はこのバスはシドニーバス博物館の展示品で、オーストラリア政府からクラシックカー用ナンバープレートの交付も受けており、合法的に観光客を乗せて走ることができるのです。
香港では、KMBが毎年バスのオークションを開いていますが、入札書類には、香港でナンバーを更新して運行することはできず、展示・装飾用に限ると明記されています。新界(サンガーイ)で土地を借りてバスを保存する自発的な民間のバス保存団体もあれば、落札したバスを「小さいながらも設備の整った」バスハウスに改装した人もいます。しかし、その引退生活はオーストラリアの展示バスとは大違いです。かつて熱心すぎるバスマニアに引退バスの保管場所を突き止められ、部品が次々と盗まれたり壊されたりしたことがありました。人目を引かないよう、バスたちは世間から隔たった人里離れた場所に身を潜めるほかないのです。

香港の引退バスの暮らしは寂しげに聞こえますが、実は近年、さまざまな人たちが寄り添うようになってきました!

たとえばKMBの寄贈プログラム「巴士再生夢」(バス再生の夢)では、バスを学校に寄贈しています。2階建てバスを図書館と多元知能アクティビティセンターに改装してSTEAM(科学・技術・工学・芸術・数学)学習を行う学校もあれば、マルチメディア・アートスタジオと移動劇場に改装し、生徒により多くの芸術創作の空間を提供する学校もあります。引退バスの教室は、生徒を普段の教室の外へと連れ出してくれます。バスの中で学ぶ子どもたちはとりわけ生き生きとしており、教師と子どもたちの授業でのやり取りも増えるといいます。
KMBのほか、城巴(シティバス)と新巴(ニューワールドファーストバス)も、バスを車長(チェーチョン、香港でのバス運転士の呼び名)用の休憩室に改装しており、現在も試験運用の段階です。柴灣(チャイワン)車庫の引退バス2台を休憩室に改装し、車内にはベッド、テーブル、冷蔵庫、電子レンジ、テレビ、ウォーターサーバーなどの設備を備え、バスターミナルの休憩スペース不足という問題の改善を目指しています。
バスの現役期間は一般に10年以上に及びます。引退してもなお、別のかたちでその意義をつないでいくのです。もしかすると、子どもたちや車長がバスに寄り添っているのではなく、バスのほうこそ、ずっと香港の人びとに寄り添い続けているのかもしれません!
この記事のポイント
- 引退したバスの中には、海外へ運ばれて展示されたり、車体を新たにラッピングして観光バスやスクールバスなどとして運行されたりするものがあります
- 香港では、KMBがバスのオークションを設けていますが、バスは展示・装飾用に限ると定められています
- KMBにはバスを学校へ寄贈するプログラムもあり、STEAM学習教室に改装した学校があります
- 城巴と新巴はバスを休憩室に改装し、車長の休憩スペース不足の改善を目指しています

小さなチャレンジ
もしあなたがバス会社を経営しているとしたら、ここで紹介した方法のほかに、引退したバスが市民に奉仕するという使命を続けられるよう、どのように活用しますか?