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ワトソンズ館

ワトソンズ・グループ (A.S. Watson Group)

ワトソンズ(屈臣氏、Watsons)が香港に現存する最も歴史の長い小売業者となれたのは、ひとえに市場のニーズがあったからです。1843 年、英国による香港統治が始まったばかりの頃、ヨーロッパから来た英国人の多くは香港の気候になじめず、次々と病に倒れました。文献はこれを「Hongkong Fever(香港熱)」と呼び、その深刻さは、英国軍兵士の実に 24% がこの Hongkong Fever で命を落とすほどでした。

ワトソンズ薬局と初期の香港の歴史

1858

ワトソン氏

1858 年、英国人薬剤師のアレクサンダー・スカーヴィング・ワトソン氏(Mr. Alexander Skirving Watson)が「香港薬房」(The Hong Kong Dispensary) に支配人として加わりました。彼はのちに薬局の事業を引き継ぎ、1871 年に A.S. Watson & Company の名で正式に登記して営業を始めました。

1841

香港薬房

英国人が香港の気候になじめなかったことから、ワトソンズ薬局の前身である香港薬房 (The Hong Kong Dispensary) は、早くも 1841 年 5 月には上環(ションワン)の水坑口街(ポゼッション・ストリート)一帯で開業し、主に香港駐留の英国軍に薬を供給していました。

ワトソン氏は香港薬房に加わった後、A.S. Watson 自社ブランドの薬の製造を始め(1871年)、香港総督やエディンバラ公爵の「御用達」薬局となり(1869年)、奨学金を設けて地元の医療を支援しました(1870年代)。1888 年の奨学金受賞者の一人が、皆さんもご存じの孫文(孫中山、Sun Yat-sen)です。当時はまだ、清朝政府を倒して中華民国を建てる前のことでした。

1903

ワトソンズ蒸留水

20 世紀初頭の香港は衛生環境がなお非常に劣悪で、致死性のペストが流行し、汚染された飲み水を口にして病気になる人が数多くいました。そこで 1903 年、「ワトソンズ蒸留水」が市場に投入され、香港市民に安全で信頼できる飲用水を提供しました。ワトソンズの最高執行責任者(COO)は近年、メディアの取材に対し、水と健康は密接な関係にあり、病人を治す最良の薬は清潔な水である、とも語っています。

マーケティングの観点から見ると、ワトソンズ蒸留水は同時に新しい市場を開拓していました。当時、水を買う人など誰もいなかったからです。早くも 1875 年に香港初の炭酸飲料工場を開いていた生産力とあわせて、ワトソンズは飲料市場の開拓に力を注ぎました。「屈臣氏沙士(ワトソンズのサルサパリラ炭酸飲料)」の古い写真や広告をたまに見かけることがありますが、実はワトソンズは 1948 年、3毫子(ホウジー、30セント)で売る「哥喇」(SuperCola) を発売し、4毫子(40セント)で売られていた「コカ・コーラ」への挑戦に成功しています。ワトソンズの飲料市場での展開もまた、語り草となっているブランドの歴史物語です。

香港人の暮らしの中へ

1963 年、和記企業有限公司(ハチソン)がワトソンズ社を買収しました。和記企業はのちに和記黃埔有限公司(ハチソン・ワンポア)となります。これが現在の長江和記実業有限公司(CKハチソン・ホールディングス)の前身です。

これ以降、ワトソンズ・グループのブランドは、香港人の日常生活のほとんどあらゆる場面に入り込んでいきました。

1972 年、赤柱(スタンレー)の2軒のスーパーマーケットを買収して「百佳超級市場(パークンショップ、PARKnSHOP)」を設立しました。

1973 年、Peter Pan 社を買収して香港で「雪山(シュッサーン、Suet San)アイスクリーム」を発売し、1999 年に雪山アイスクリームをユニリーバ (Unilever) 傘下の Wall’s ブランドへ売却しました。

1981 年、ワトソンズ・グループは和記黃埔有限公司に買収され、李嘉誠(リ・カシン、Li Ka-shing)の経営による高度成長期に正式に入りました。

1990 年、和記黃埔は 1986 年に買収していた家電量販店「豐澤(フォートレス、Fortress)」をワトソンズ・グループに編入しました。

1998 年、「ワトソンズ・ワイン(屈臣氏酒窖、Watson’s Wine)」を設立し、1号店を中環(セントラル)の IFC 第1期モールに開きました。

2000 年以降、ワトソンズ・グループは「Great」「fusion」「Taste」「Gourmet」「International」「SU-PA-DE-PA」など、位置づけの異なるスーパーマーケットブランドを展開しました。またグループのウェブサイトによれば、ワトソンズは「菓汁先生」(Mr. Juicy) と「新奇士」(サンキスト、Sunkist)の飲料ブランドも運営しています。

ワトソンズの

海外ブランド

21 世紀に入り、ワトソンズ・グループは海外事業を開拓し、Savers、Kruidvat、Superdrug、Trekpleister、Rossmann、ICI Paris XL、Drogas、Cosmo、The Perfume Shop、Spektr、DC など各国の小売ブランドを買収してきました。

買収された小売ブランドの一部には、ワトソンズの経営スタイル、さらにはブランドイメージまで取り入れられています。ワトソンズ・グループのウェブサイトによれば、2019 年時点で、グループが世界各地に持つ小売店舗の総数は 15,000 店を超えました。旅行好きの香港人なら、海外で「ワトソンズ」の面影を見つけることがあるかもしれません。

資料出典:

https://www.aswatson.com/zh/our-company/our-history/#.X1cP72czZs8 [アーカイブ]

https://hkindustry2020.com/QR.php?id=3

https://www.scmp.com/lifestyle/article/2170198/story-watson-hong-kong-pharmacy-worlds-largest-health-and-beauty-group

https://www.gvm.com.tw/article/41556

https://www.cambridge.org/core/journals/modern-asian-studies/article/hong-kong-fever-of-1843-collective-trauma-and-the-reconfiguring-of-colonial-space/FF55DCF6382540ED72A8035C8869606F

https://hk.appledaily.com/local/20131103/L5FNMFO4NUNOAYQWVVVBF2TXIM/ [アーカイブ]

「工」不可沒 - 香港工業傳奇展覽(香港の工業史をたどる展覧会) @ 香港歷史博物館(香港歴史博物館)

Published in Sep 2020 by Hong Kong Brand Museum 香港品牌博物館

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