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スタンダードチャータード銀行館

スタンダードチャータード銀行(香港)有限公司

スタンダードチャータード銀行(中国語名「渣打銀行」、渣打=ジャーダー)と香港の関係は、遠いようで近いものです。その前身は早くも1859年に香港で開業し、1862年には香港での紙幣発行を開始——HSBCの発券より3年も早いことでした。「渣打」は音訳による中国語名であり、その意味や歴史の歩みをよく知らない香港人は少なくありません。最も親しまれているのは、1997年から冠スポンサーを務める「渣馬(ジャーマー、スタンダードチャータード香港マラソンの愛称)」と、2010年から多くの香港人が愛するリヴァプールFCのスポンサーを務めていることかもしれません。

現存する香港最古の

発券銀行

「渣打」とは何か?

「渣打」は Chartered の音訳とみられ、それも香港式の広東語による音訳です。香港人が読めば実にすんなり口になじみますが、中国本土で標準中国語(普通話)で読むと非常に発音しにくいうえ、字面からは意味も取れないため、本土のネット投稿では「優雅さに欠ける」と評されることも少なくありません。

スタンダードチャータード銀行の英語名 Chartered Bank は、英国の創業者 James Wilson に由来します。彼は1853年、時のヴィクトリア女王から「Royal Charter」(勅許状)を授与されました。当時、英国の海外貿易は非常に盛んで、Chartered Bank はまたたく間にインド、中国、香港、シンガポールなどに支店を開設しました。

のちの1911年、「匯理」の名は「渣打」に改められ、英語では Chartered Bank と略称されました。これがすなわち渣打銀行です。

しかし今日の同行の英語名は Standard Chartered です。1969年、アフリカに事業基盤を持つ Standard Bank of British South Africa と合併し、ヨーロッパ・アジア・アフリカにまたがる貿易業務を扱う銀行となったためです。

インド・オーストラリア・中国

スタンダードチャータードは香港で設立されたのではなく、1853年にロンドンの本部で設立され、1859年に香港へ支店を開設した銀行です。

百数十年前、同行はインド、オーストラリア、中国との貿易関連業務を主に営んでいたため、かつては The Chartered Bank of India, Australia & China を名乗り、中国語では「印度新金山中國匯理銀行」と訳されていました。「印度新金山中國(インド・新金山・中国)」の文字が外されたのは1956年のことです。

「新金山(新しい金山)」とは、当時の中国人によるオーストラリアの呼び名です。1851年、メルボルンのあるヴィクトリア州で金鉱が発見され、新たなゴールドラッシュが起きたことに由来します。

今日、スタンダードチャータードの香港での事業収益はグループ全体の4分の1程度にすぎず、その事業は今も英国、米国、ヨーロッパ、アフリカ、中東などに広がっています。

香港とはつかず離れず?

スタンダードチャータードの香港での歴史はHSBCより長いにもかかわらず、香港人の心の中では、HSBCのような「香港人の銀行」という印象を持たれていません。

実際、スタンダードチャータードは香港の3つの発券銀行のひとつですが、その紙幣流通額はHSBCの約6分の1、中国銀行(香港)の3分の1にとどまります。本部はロンドンにあり、株式もロンドンで上場しています。香港にも同時上場していますが、かつて個人投資家からの支持はHSBCに遠く及びませんでした。現在の筆頭株主はシンガポール政府が所有する「テマセク」で、同行は東南アジア諸国の新興市場事業の展開においてもシンガポールに軸足を置いています。

HSBCは香港で設立され、多くの香港人がHSBC本店を知っており、HSBC自身もそのイメージを大切に育ててきました。対照的に、スタンダードチャータードの香港本部が入る「渣打銀行大廈(スタンダードチャータード銀行ビル)」は紙幣に描かれてはいるものの、実は1992年に「恒隆集団(Hang Lung Group)」へ売却されています。同行のウェブサイトにも香港の「本店」の表示はなく、すべての営業拠点は支店と呼ばれています。

渣馬とリヴァプール

スタンダードチャータードは1997年から「香港マラソン」に協賛してきました。年を重ねるごとに参加者は増え、この大会は他のマラソン大会と区別して「渣打マラソン」あるいは「渣馬」と呼ばれるようになりました。近年の渣馬は毎年7万人を超える参加者を集め、香港を代表するスポーツイベントのひとつとなっています。

2010年からは、香港に多くのサポーターを持つプレミアリーグの球団リヴァプールFCのスポンサーとなり、同行のロゴがリヴァプールのユニフォームに掲げられています。香港では東南アジア市場のようなスタンダードチャータード・リヴァプール提携クレジットカードこそ発行されていませんが、2019/20シーズンにリヴァプールが30年ぶりのリーグ優勝を果たした際には、同行もサイン入りユニフォームのプレゼント企画を実施しました。

ドナルドダックの錢罌(チンアーン、貯金箱)

スタンダードチャータードと香港の文化的なつながりの大きな部分は、米国ディズニーのドナルドダックが担っているのかもしれません。香港におけるスタンダードチャータードの歴史資料は、実のところHSBCほど豊富ではありませんが、検索エンジンに「渣打 唐老鴨(ドナルドダック)」と入力すれば、大量の検索結果があふれ出てきます。

スタンダードチャータードとディズニーの提携は早くも1960年代に始まりました。当時の銀行は一般に「貯蓄の習慣を育てる」という教育メッセージを広めており、同行は子ども向けに、定番のドナルドダックをはじめとするディズニーシリーズの錢罌(貯金箱)を売り出しました。ドナルドダックの貯金箱は多くの香港人の思い出となり、2018年に発売された復刻版もひとしきり話題を呼びました。当時の子どもたちの多くはドナルドダックの通帳で貯蓄を学んだのかもしれません。近年発売されたディズニーデザインのキャッシュカードが同じ教育効果を発揮できるかどうかは、まだ分かりません。

現存する最古の発券銀行

スタンダードチャータードは香港で4番目の発券銀行ですが、それ以前の3行はすでに廃業するか買収されています。香港金融管理局(HKMA)には資訊中心(インフォメーションセンター)が設けられ、常設展示では香港の通貨、紙幣発行、発券銀行の歴史が紹介されています。より詳しく知りたい方や、スタンダードチャータードの古い紙幣をもっと見てみたい方は、ぜひ見学してみてください。

金管局資訊中心(HKMAインフォメーションセンター)

場所:中環(セントラル)国際金融中心(IFC)第2期 55階

開放時間:月曜から金曜は午前10:00から午後5:30、土曜は午前10:00から午後1:00。人数管理のため、入場は時間帯区分制(1区分3時間*)となっており、入場者数に上限があります。日曜・祝日は休館。

見学は先着順での入場となります。

問い合わせ電話:2878 1111

資料出典:

https://www.sc.com/en/about/

https://www.facebook.com/standardcharteredhk/

https://av.sc.com/hk/zh/content/docs/hk-c-1-annual-report-2019.pdf

https://www.hkma.gov.hk/media/chi/publications-and-research/annual-report/2019/AR2019_C.pdf

https://www.hkma.gov.hk/chi/about-us/the-hkma-information-centre/

https://www.hanglung.com/zh-hk/hong-kong-properties/commercial/central/standard-chartered-bank-building

https://www.theguardian.com/business/2012/aug/07/standard-chartered-short-history#:~:text=Standard%20Chartered%20bank%20was%20formed,between%20Europe%2C%20Asia%20and%20Africa.&text=Its%20history%20dates%20back%20more%20than%20150%20years

香港金融管理局(HKMA)資訊中心展覧ホール

Published in Oct 2020 by Hong Kong Brand Museum 香港品牌博物館

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品牌博物館 021・スタンダードチャータード館|現存する香港最古の発券銀行2024-01-11