香港の公営巴士(バス)におけるバリアフリー交通の理念
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現行の法令では、2013年以降にフランチャイズ(専営権)を保有する巴士(バーシー、バス)会社が新しい巴士を調達する際、バリアフリー設備の設計を取り入れることが義務づけられています。たとえば、車椅子で乗り降りできるノンステップ(低床)設計、シートベルト装置付きの車椅子スペース、優先席などです。さらに、車内の床に滑り止めゴム床材を採用し、鮮やかな黄色の凹凸模様の手すり、点字付きの降車ブザー、車内放送による停留所案内システムなどを備えた公営巴士もあり、障がいのある方が巴士を利用する際のニーズに応えようとしています。

しかし、理想は理想として、現実には多くの障がいのある方が、巴士に乗るときになお多くの問題に直面しています。全港無障礙巴士關注大聯盟(香港全域のバリアフリーバスを考える大連盟)の調査によると、巴士の停留所案内装置の90%は、視覚障がい者に降車を有効に知らせることができていません。主な原因は案内音声の音量不足と、停留所に着いてから案内が流れることで、少なからぬ視覚障がい者が誤った停留所で降りてしまっています。公営巴士会社が開発したスマートフォンアプリには、路線や時刻表などの情報を音声で伝えるシステムが備わっていますが、巴士のGPS(全地球測位システム)には誤差があり、自動案内のタイミングも必ずしも正確ではありません。巴士のインクルーシブデザインには、まだ不十分な点が残されていることがわかります。

また、外的な要因によって、巴士利用時に不愉快な経験をすることも少なくありません。ふだん、大きな荷物やベビーカー、スーツケースなどを車椅子スペースに置く乗客がいます。新聞社の取材に応じたある障がいのある方は、かえって「阻住晒」(ジョーチューサーイ、「邪魔だ」の意)と言われることがある、と語っています。また、視覚障がい者の全員に外見からわかるはっきりした特徴があるわけではなく、乗客や通行人に尋ねても、冷淡な返事しか得られないこともあります。
実のところ、巴士会社もこうした問題の改善に努め続けています。たとえば、もともと1つだった車椅子スペースを2つに増やし、障がいのある方が乗車できる確率を高めた巴士会社もあります。そして香港市民として、私たちも力になれます。たとえば親切に応対する、必要なら運転士に協力を求める——そうすることで、障がいのある方はもっと地域に溶け込めるようになります。
注:運輸署(香港の交通当局)のウェブサイトによると、2020年初めの時点で香港のフランチャイズ巴士会社は5社あります。九龍巴士(1933)有限公司「KMB(九巴)」、城巴有限公司(シティバス)、新世界第一巴士服務有限公司「新巴」(ニューワールドファーストバス)、龍運巴士有限公司(Long Win Bus)、新大嶼山巴士 (1973)有限公司「嶼巴」(New Lantao Bus)です。
この記事のポイント
- 運輸署が推進する「バリアフリー交通」の理念に沿って、公営巴士会社はバリアフリー設備を設けています
- 現実には、巴士の設計上の問題や乗客の冷淡な態度により、巴士利用時に不安や不快を感じる障がいのある方が少なくありません
- 巴士会社がサービスの改善に努めると同時に、私たちも困っている方をできるかぎり手助けすることができます

小さなチャレンジ
2019年の時点で、香港全域では240台の巴士に2つの車椅子スペースが設けられています。巴士を待つとき、フロントガラスにこのマークが貼られていないか、ぜひ注意して見てみてください!