公和など各ブランドの精製腐乳は「中国のチーズ」のお手本
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1960~70年代には、どの家庭にも腐乳(フーユー、豆腐を塩漬け発酵させた食品)の瓶が少なくとも一つはありました。経済が苦しかった当時、腐乳を半かけらすくい、砂糖を少し加えてご飯に混ぜれば、それで一食になったのです。
腐乳は多くの人の子ども時代の思い出とつながる食べ物であり、先代の手仕事の職人精神そのものでもあります。良い腐乳を一瓶つくる工程は簡単ではありません。まず大豆を一晩水に浸し、石臼で挽いた豆乳を加熱し、遠心分離機にかけて汁と搾りかすを分け、固まった豆乳を竹製のざるに移して水気を押し出します。
一枚一枚に切り分けた豆胚(トウハイ、腐乳のもとになる豆腐)は、一枚ずつきれいに並べて発酵を待ちます。腕前と経験に加え、環境の温度と湿度も菌付けの鍵になります。良い豆胚には白いふわふわとしたカビが生え、その後は「麻雀の牌をかき混ぜる」ように、カビを豆胚の四面にまんべんなくまぶし、6~7個の小片を一列に並べます。互いに作用し合うことで、どの一枚も均等に自然発酵できるようにするためです。

豆胚を大きな盆にすき間なく敷き詰め、塩を加えて余分な水分を出しながら防腐のために漬け込み、一日たったら塩水を洗い流して風乾を待ちます。瓶詰めの工程では、腐乳を瓶の内側に沿ってすき間がなくなるまで詰めます。揺れても腐乳が崩れないようにするためで、後期の発酵にも役立ちます。最後に米酒と唐辛子粉を加え、半年かそれ以上待って、ようやく手づくりの腐乳が一瓶、本当に出来上がるのです。

ただ、漬け込む季節によって腐乳の味わいが違うことは、あまり知られていません。夏につくる腐乳は温度と湿度が高いため米酒の香りが強めになり、冬につくるものは豆の風味が濃厚に、春と秋は味わいが穏やかでバランスの取れたものになります。
香港全体でも、地元で腐乳をつくる職人は今や数えるほどしか残っていません。文字で説明するだけでも工程の複雑さが伝わるでしょう。豆を浸し、挽き、水気を絞り、発酵させる――どれか一つの手順でも失敗すれば、丹精込めた一瓶が水の泡になります。しかも保存期間が長いため、商売としては費用対効果が低く、資金回収も遅い。だからスーパーで買える腐乳の大部分は、中国本土で機械生産されたものなのです。

今では腐乳をおかずにご飯を食べる人はごくわずかで、多くは通菜(空心菜)炒めや羊腩煲(ヨンナムボウ、ラム肉の土鍋煮込み)などの調味料として使われる程度です。しかし実は多くの外国人が、そして著名な美食家の蔡瀾(Chua Lam)氏までもが、パンや塩味のクラッカーに腐乳をつけて食べ、赤ワインを合わせれば、それはまさに「中国のチーズ」だと絶賛しています。香港にも中華と西洋を融合させた料理を編み出すレストランが少なくなく、唐辛子入り腐乳のパスタ(椒絲腐乳意粉)や、ドライフルーツに腐乳のディップを添えた一品などを売り出しています。
業界の職人たちは、「腐乳は貧しい人が食べるもの」という固定観念を払拭しようと、新しい腐乳レシピの開発に努め続けています。瓶の中に保存されているのは腐乳だけではなく、先代の香港人の味と記憶でもある――そう固く信じているからです。
ポイント:
- 1960~70年代には、腐乳をご飯に混ぜるだけで一食になったため、腐乳は「貧しい人の恵み」の一つと呼ばれました
- 腐乳づくりの工程は複雑で、二度の発酵が必要なうえ、漬け込む季節によって味も食感も変わります
- スーパーで売られているものの多くは機械生産品です。地元の手づくり腐乳は費用対効果が低いため、ごくわずかしか残っていません
- 今では腐乳を単なる調味料にとどめず、西洋の食材と融合させた新しい料理を生み出すレストランもあります

ミニチャレンジ:
野菜炒めや肉のつけだれのほかに、家族と一緒に「腐乳トースト(腐乳多士)」を手軽につくって、中華と西洋が出会う腐乳料理を味わってみましょう!
- フライパンでパンの両面をきつね色になるまで焼きます
- 腐乳を塗り、砂糖を振りかけます
- 塗った面を下にして、フライパンでさらに30秒ほど焼きます